クリーンディーゼルとは

乗用車の60%以上がクリーンディーゼル
ディーゼルエンジンはヨーロッパで高い普及率を誇っており、新車登録台数の53.3%がディーゼル車であることをご存知だったでしょうか?
CO2排出量増加による地球の温暖化が問題視されている現代社会において、欧州諸国を中心とする世界各国ではガソリンエンジンに比べ、 CO2削減がより期待できるクリーンな代替エネルギーへの移行に躍起になっています。

わが国日本では、プリウスに代表されるハイブリット車こそがそのパイオニアとして近年販売台数を飛躍的に伸ばしていますが、 バッテリーを含む新技術の開発には時間とコストがかかり、現実的には性能面・経済面のパフォーマンスや、その環境を支える インフラ面において、すぐさまガソリンエンジンに取って代わるほどの成熟度を満たしているとはいえません。

日本国内では意図的な広告宣伝効果も手伝ってハイブリット車や電気自動車だけがクリーンエンジンであるような錯覚さえ覚えてしまいますが、 世界基準、とくに欧州諸国では、環境性能、経済性、エンジン性能の全てをバランス良く満たしているクリーンエンジンは「ディーゼルエンジン」が常識なのです。

このディーゼルエンジンの利点は、ガソリンエンジンに比べ構造がシンプルなので壊れにくく耐久性があり、エンジン寿命はガソリンの2倍以上長持ちします。 その上、燃料そのもの(軽油)がガソリンに比べ安価で、近年の技術革新もめざましく燃費性能も格段に向上している事が欧州での普及を加速させています。

なぜ 日本はクリーンディーゼルではないのでしょうか
欧州でディーゼルエンジンはCO2排出量が少なく環境性能に優れたエンジンとして位置づけられていますが、日本では石油資源を取り巻く政治的な背景も手伝って、その位置づけは極めて歪められてきた経緯があります。
さらにそのレッテルは、60年台~80年初頭にかけて普及した産業用大型車の黒煙によって、より悪しきイメージが先行し、「環境に悪い」という固定観念を植え付けてしまいました。

わが国ではその様な背景から、やがてハイブリッドや電気自動車というソフトが普及すると、ハード面(インフラ)の設置事業などで今後大きな経済効果を見込めることから、現実的には環境面への配慮以上に、国内自動車メーカーやその他重工業へのエネルギー移行特需を優先した結果といえるでしょう。

実は、2007年の京都議定書以降、世界的にディーゼルエンジンの環境性能は大きく飛躍しており、環境エンジンに求められるCO2排出量ではハイブリットと同等かそれ以上のクリーンエンジンとよべる基準に到達しています。 しかしながら、ハイブリッド車を推進している日本では、あえて、この事実を積極的に浸透させず、ユーザーから自由な選択肢を奪い去っているのが現実です。
環境問題という大義の下で隠れ蓑になってはいますが、本当のところは、国や一部企業のふところ具合を優先した政治的マーケティングに翻弄されているのです。

クリーンディーゼルエンジンの実力
欧州の自動車マーケットで、実際にディーゼルエンジン車を購入されるユーザーのホンネの一つに、現在のディーゼル車はガソリン車より「静かで気持ち良く加速できるから」という理由が挙げられます。

ディーゼルエンジンの最大の魅力は、使用環境の8割を占める市街地走行において、一番多く用いられる2000rpm~2500rpmの回転域でエンジンのピークトルクを発生させることが挙げられます。 これによりディーゼルエンジンはスポーツカーに匹敵するほどのパワフルでスムーズな加速を実現させ、さらには、ガソリン車と同等以上の静寂性をも確保できるのです。

そして、一般的にもっとも意外なのが、最速を競う近代モータースポーツの世界において、このディーゼルエンジンが活躍しているという事実です。
近年ではアウディがV型12気筒のディーゼルエンジンを搭載した「R18 e-tron quattro」でモータースポーツの世界最高峰である「ル・マン24時間耐久レース」をみごと1.2フィニッシュで総合優勝を飾っています。
したがって、ディーゼル車のメリットは日本の一般的な印象である燃費性能だけではなく、静寂性、環境性に加え自動車本来に求められるエンジン性能さえも持ち合わせた理想的で実用的な乗り物だといえるのです。

欧州発ディーゼル車の逆襲 日本のハイブリッドの脅威に
エコカーの世界標準を巡る決戦が日本で始まる。日本でエコカーといえばトヨタ自動車の「プリウス」に代表されるハイブリッド車。そこに欧州発の「クリーンディーゼル」が攻めてくるのだ。日本では「公害」のイメージがまだあるディーゼルだが、欧州では10数年前のイノベーションでエコカーの代表にのし上がった。日本で人気のハイブリッド車はクリーンディーゼルの逆襲をかわせるだろうか。

独BMWは1月、SUV(多目的スポーツ車)「X5」のディーゼルエンジンモデルを発売した。2012年中にもう3車種を投入する計画だ。日本BMWの関係者は「日本人がディーゼル車に抱く悪いイメージを覆す」と意気込んでいる。
ダイムラーもこの夏のSUV「Mクラス」を皮切りに4種類以上のディーゼル乗用車を日本に投入する。仏プジョーシトロエングループ(PSA)傘下のプジョーは来春、主力小型車「208」にディーゼルモデルを加える。

しかし「なぜいまさらディーゼルなのか」。日本に住んでいると、ついそう思ってしまう。それは10数年前に欧州で起きた重要なイノベーションを見逃しているからだ。

1997年に登場した「アルファロメオ156JTD」と「メルセデス・ベンツC220CDI」。この2つのディーゼル車は画期的なシステムを搭載していた。独自動車部品メーカー、ボッシュが開発した「コモンレールシステム」である。 日本の乗用車の新車販売に占めるディーゼル車の比率はわずかに0.3%(11年)。ぜんそくなどの原因になる窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)をまき散らしたイメージが根強くまったく普及していない。

しかしコモンレールは蓄圧式と呼ばれる噴射方式で燃焼効率を劇的に改善し、NOxやPMをほとんど出さないクリーンディーゼルを実現した。ここから欧州のディーゼル比率はぐんぐん高まり、11年には54.9%に達した。

ボッシュによると、ディーゼル車の二酸化炭素(CO2)排出量はガソリン車より25%少ない。燃費性能はガソリン車より3割ほど高く、ディーゼルが使う軽油はガソリンより安いので、燃料代はガソリン車の6割程度に抑えられる。温暖化防止に効果的で財布にも優しいディーゼル車は、最大の弱点だった排ガス問題を克服したことで欧州では「最も現実的なエコカー」の地位を獲得した。 実はコモンレールを最初に実用化したのはボッシュではない。ボッシュより2年早い95年、日本のデンソーが開発したコモンレールシステムが日野自動車のトラック「ライジングレンジャー」に採用されている。しかし、この技術が乗用車に広がることはなかった。なぜか。97年はトヨタの「プリウス」が登場した年である。日本はエコカーの代表としてハイブリッド車を選んだのだ。

ハイブリッドを選んだ理由の1つに軽油の品質問題がある。当時、日本の軽油は硫黄含有量が多く、黒鉛が出やすかった。しかし政府の規制を受け、石油元売り各社は05年以降、低硫黄製品に切り替えた。ディーゼル車の普及を妨げる要因はほぼなくなったといっていいだろう。

それを見計らっての欧州メーカーの総攻撃である。コモンレールを搭載したディーゼル車は97年から07年までの10年間に世界で3000万台以上売れた。一方、プリウスの世界累計販売は11年8月末時点で236万台。欧州で実績を積んだディーゼル車は日本でもハイブリッド車の手ごわいライバルになりそうだ。

杞憂(きゆう)であればいいが、いやな予感がする。携帯電話で起きたことが自動車でも起こるのではないか。そう「ガラパゴス化」だ。

携帯電話に例えれば、日本で進化した「iモード」がハイブリッド車で、欧州規格の「GSM」がディーゼル車。世界標準になったのはGSMであり、iモードは国内でもスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)に押されている。日本車メーカーよ、目を覚ませ。国内のハイブリッド人気に甘んじていては危ない。

日本経済新聞より 2012/6/25 7:00
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD210B5_S2A620C1000000/

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